コロナ禍で病院は面会制限が行われていました。5類になった去年の今頃も、まだ一部面会制限が残っていました。今年は完全に撤廃された初めての七夕です。もうすぐ七夕なので私がよく使っていて、好評だったお話しをお伝えします。
コロナ禍で面会が禁止となっていた時、入院患者の着替えなどの荷物の受け渡しは、看護師が行っていました。しかし皆さん心から納得しているわけではありませんし、無理を言えば通るかも知れないと思うのが人の心というものでしょう。自立されていてこっそりと面会される分には仕方ないのですが、そこまで元気ではない方場合、なかなかそういうわけにはいきません。元気ではない場合、免疫力が落ちている方も多いので、ルールを守っていただくしかありません。
そんな中、ご家族からの荷物をお渡しすると「ちょっとくらいだめ?本当に顔を見るだけでいいから。」とお願いされます。ここでお断りすると「ちょっとくらいいいじゃない。融通がきかないなあ。」と反発されかねません。また一瞬ならと許可した場合、「固いこと言わなくてもいいじやない。」ともっと譲歩を希望されることも考えられます。
そこで私は「お顔みたいですよね?そうですよねえ。そしたら織姫様と彦星様みたいにガラス越しに、遠くからにしましょうか?」と声をかけます。すると皆さん笑って「まあ織姫様と彦星様だなんてねえ。そんなあ。ババ星とシジ星だわあ。ウフフ。」と言いながら、本当にガラス越しに手を振って「荷物ありがとう。」とか「頑張ってな。」と一言二言お話しして納得してくださいました。
この場合の良い点は日本人なら誰でも、このお話しを知っていて「天の川をはさんで一目だけ会える。」場面を想像出来て、自分たちがお話しの主人公のお姫様たち置き換えられて、いい気分になれることにあります。また面会が貴重であることも理解できで、要望が通らなくても仕方がないとあきらめてもらいやすくなるようです。
また、一応一瞬ではありますが面会の希望を叶えることは出来ています。こちらとしてもガラス越しなので感染リスクに配慮は出来るので良いことずくめでした。この言い方で「なんで面会出来ないんだ。」とご立腹された方はいらっしゃいませんでした。
今年は面会制限が完全撤廃されて初めての七夕です。去年まで織姫様と彦星様に大変お世話になりましたが、これからはもうこのお話しをすることのない日々か続いて欲しいものです。