抱っこの力


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うちの娘が保育園に通っていた頃の話。朝登園をしてロッカーに荷物を片付けます。私がいよいよ出掛けようとする前にうちの娘をぎゅーっど抱きしめます。「じゃ、行って来るね。お利口さんで待っててね。」うちの娘はそのまま園庭に出ます。園庭は道に面しています。私が自転車でそこを通ると垣根に身を乗り出すように「ママ、早く帰って来てね。バイバイ。」と声をかけてくれます。私も「行って来るね。待っててね。」と声をかけます。

そんな毎日の儀式に嫌がらせをしてくる子がいました。「おばちゃん、ぎゅーっしないで。」と引き離しに来たり。月曜日に布団を押し入れに入れていると「お布団自分で入れさせてよ。」と。いやあ他のお母さんも今同じことしているよね?と思ったり。

ある時、その子のお母さんと初めてお会いしました。お母さんはとても社交的でハキハキされていました。そのハキハキ度合いに少し圧倒されたのを覚えています。

その後もその子からのギューしないで攻撃は続きました。「じゃあおばちゃんが2人ともぎゅーするわ。」とその子をぎゅーしたこともあります。

ある時、その子がお休みしました。数日後に登園していたので「お休みしてたけどもう大丈夫?元気になった?お熱だったの?。」と質問しました。その子が心配だったわけではなく、うちの娘への感染リスクを知りたかったからに過ぎません。しかしその子はとっても嬉しそうにお休みしていた時のことを話してくれました。その様子から、あまりお母さんがその子を構ってあげていないことは、容易に想像できました。

保育園の参観日にそれぞれのお母さんが子どもの様子を発表する機会があります。その時お母さんは2人目を妊娠中でした。その子はこの事を受け入れられず「お腹に赤ちゃんいないよね。」と言っていたようで自宅でも不安定になっていると話していました。最近粘着がひどかったわけが分かりました。

いろいろなタイプのお母さんがいます。私は子育ては大好きですが、家事は苦手です。家事はそっちのけで、うちの娘の相手をしている方が楽しいタイプです。そのお母さんは社交的で、ママ友も多い人でした。子育てが苦手で仕事したり、外に出ている方が好きと話しているのが遠くから聞こえて来ました。

その子のぎゅーしないで攻撃はその後も続きました。困り果てて、先生に相談しました。私は「その子はお母さんに抱っこしてもらえてないのではないか。うちの娘に嫉妬しているのではないか。その子は寂しくて不安定になっているのではないか。」という趣旨を伝えました。先生からは「ぎゅーっの儀式はいいと思います。子ども達とぎゅーについて話してみます。」と言ってくださいました。

時は経って、赤ちゃんが生まれてから、また参観日がありました。その時のことです。我が子に攻撃していた子がお母さんに「ぎゅーっして。」とおねだりしているのを見ました。お母さんはしっかりとぎゅーっをしてあげていました。そして先生に「ギューしてもらったの。」と嬉しそうに報告している様子がありました。先生も笑顔で「良かったね。」と返答していました。その日、繰り返しお母さんにぎゅーっをねだるその子とぎゅーをするお母さんの姿を見かけることになりました。その頃うちの娘への攻撃は減っていました。

このお母さんは自分が子育てに向いていないのを理解して、我が子を保育園に入れていたわけで、素晴らしいと思います。そして保育園の先生のアドバイスに真摯に耳を傾けていたこともその子の変化を見れば分かります。いいお母さんです。

抱っこの力はすごいなと思います。私は忙しくてうちの娘を構えない時、例えば家に仕事を持って帰ってきた時など、とりあえず抱っこして仕事をしました。抱っこしていると、おとなしくしてくれました。

他にもゆっくりお茶を飲んで寛ぎたい時も抱っこしていました。抱っこしていれば大人しかった気がします。

寛ぎたい時こそ抱っこをする。背中をとんとんしながら抱っこする。1度試してみてください。