私は看護師をしています。中には生活保護の方もいらっしゃいます。いろいろな事情があると思いますが、生活保護で育った子どもがそのまま生活保護を受け続けている様子を見たことがあります。病気や様々な事情で働けなかった親御さんであっても子どもが、健康的に問題なく成人すれば働くことは出来ます。しかし就労している様子はないのです。背景には様々な、問題が隠れていると思いますので一概には言えませんが。
というのも、娘の同級生で危惧するご家庭を見たことがあるからです。
小学校の入学式を終えたばかりの、4月終わり頃、5月から転校生が来ると娘から聞きました。5月の転校生で、しかも1年生です。何か事情があることは察しがつきます。
しかし5月になっても登校してきませんでした。その子が登校してきたのは、6月になってからでした。それからも学校は休みがちで勉強も全くついていけてない様子でした。就学前に保育園や幼稚園に通っていれば身についているだろうことも、その子は全く出来ていなかったようです。
ある時その子と一緒に下校してきたようで、近所に住んでいることが分かりました。そこは単身者向けの1K の物件で、主に大学生が住んでいるところでした。近所なのにどの登校班にも属していないようで、不思議に思っていました。また何か病気がある様子でもありませんでした。
休みがちなその子にお手紙を届けてほしいと頼まれて、お友達数人で届けたこともありました。うちの子によれば、その狭い部屋にお母さんとおばあちゃん、その他女の人が数人住んでいて「電気も消されていて、テレビもなかった。タバコ臭くて、とても怖かった。」と話していました。確かに最近、その物件の前で女性が数人座って、タバコを吸う様子がありました。この辺ではあまり見ない光景だったので衝撃を受けたのを覚えています。「そうか、あの人達が。」
娘には今度手紙を届ける時は一緒に行くので一旦帰って来るように伝えました。
しかしそれから先生が手紙を届けるように頼んできたことはありませんでした。もちろんその事で、こちらから学校に何か申し出たこともありません。学校も色々と試行錯誤していたのだと思います。
そのご家族は一年もしないうちにそこを引っ越して行きました。そのご家庭が生活保護を受けていたのかどうか、はっきりとは分かりません。しかし大人が昼間から家の前でタバコを吸っていたり、狭い部屋に滞在していて就労している様子がないこと、1年生の5月に転校してくる、などから憶測するとそれしか考えられないのです。少なくとも親には、子どもに普通教育を受けさせる義務があります。しかしそのご家庭はその義務を怠っているように見えました。
朝起きて、子どもを学校に送り出す。専業主婦のお母さんは家のあらゆる事を行う仕事が待っています。私は専業主婦に向いていないので逆に尊敬します。そういう一つ一つのことを子どもは見ているのだと思います。
そういう姿を見ていないと、働くとはどういう事なのかをわからないまま成長してしまう。
生活保護という生き方を見て育ってしまう。親が生活保護から脱出するために何か努力していたり、本来の人間としての生き方を教えていれば良いのだろうと思います。しかし生活保護が当たり前という環境を見せてしまうことが問題なのだと思います。
「親の背中を見て子は育つ」とはよく言ったものです。しんどくても勤勉な姿を見ていればきっと多くを語らなくても、自分で生きていく力をつけてくれるのではないかと思います。